全然守られてないかわいそうな規定。

会社法124条3項。

「基準日を定めたときは」「二週間前までに」「公告しなければならない」ということは、「基準日を定めないときは」「公告しなくてもよい」ということになります。

小さい会社が定時総会以外で別途基準日を定めることはほとんどありませんし、登記手続きの添付書面にもなっていないので、ほとんど無視されている規定になっています。

ちなみに某申請書作成ソフトには次の定款規定(124条3項のままです)がデフォルトで入っています。

「株主又は登録株式質権者として権利を行使することができる者を確定するため必要があるときは、取締役の過半数の決定により、臨時に基準日を定めることができる。ただし、この場合には、その日を2週間前までに公告するものとする。」

クライアントからすると「官報公告!?」という印象になるようです。では、「公告」の部分を「通知」などに変更することができるかというと、それについては判例も条文もない状態です。ですので、勝手に定款規定を「通知」にしてしまうのはちょっとこわいですね。

基準日を定めないと、総会のとき(その日)の株主が権利行使株主となるようです(現実的には招集通知を送るときの株主となります)。

お客様には、基準日を定めることは通常しないので、公告をすることも必要ありません、とご説明することになります。