取締役が会社に対して貸付を行う際の注意点です。
今回は取締役が一人の会社の取締役が会社にお金を貸し付けるという事案でした。
取締役は一人ですが、株主は3名という会社です。

検討した事項としては次のとおり。知識が曖昧な箇所ですので、寄り道しているのはご愛嬌。

1、「多額の借財」にあたる?
最高裁平成24年2月21日判決
「当該借財の額、その会社の総資産及び経常利益等に占める割合、当該借財の目的及び会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断すべき」
総合判断のようです。
今回は総資産は10億円超の会社で3000万円の貸付でしたので、総資産の3%、経常利益は不明。この情報だけではなんともいえませんね。

2、仮に「多額の借財」にあたるとして、株主総会決議事項になる?
これはなりません。取締役会非設置会社では、「多額の借財」についての承認を株主総会で得るという規定は存在しません。取締役の決定で可能ということです。

3、利益相反取引にあたるため、株主総会決議で承認決議が必要
取締役と会社との直接取引となるので、株主総会で利益相反取引の承認決議が必要となります。
これについては「普通決議」です。特別決議と勘違いしていました。
なお、取締役本人が株主でもある場合には特別利害関係人に該当しますが、議決権の行使は可能です。

結論としては、株主総会で利益相反取引の普通決議の承認が必要ということになりました。
結果的に株主総会の開催は必要となり、取引内容の承認を得ることになるということですね。