種類株主総会と通常の株主総会の議事録を兼ねることができるか
種類株式発行会社で、普通株式とA種類株式を発行している場合に、普通株式の第三者割当による募集株式の発行をしようとすると、「(全体の)臨時株主総会」と「(種類株式としての)普通株式株主総会」が必要(発行対象でないA種類株式の種類株主総会決議は不要)となります。
この「(種類株式としての)普通株式株主総会」が曲者なんですよね。普通株式が種類株式だという認識が弱いので開催を忘れてしまうんです。
そこで、2つの総会を同じものとして兼ねることはできないか、という考えが出てくるわけですが、答えは「できない」です。
民事月報に記載があります。議事録が2通必要になるということです。
募集事項の決定に係る添付書面として株主総会の議事録のみを添付してする募集株式の発行による変更の登記の申請は,株主総会と種類株主総会とは別個のものであり,たとえ株主総会と種類株主総会とで議決権を行使することができる株主がまったく同一であるという事情があるとしても,株主総会の決議をもって種類株主総会の決議があったものとみなすことや,株主総会の決議をもって種類株主総会の決議を兼ねることはできないことから,受理されない(民事月報Vol.64 No.8P24)。
ちなみに招集通知の記載は次のようになります。
同じ場所で開催するのはもちろん構わないのですが、きちんと分けて記載します。
定時株主総会および普通株式にかかる種類株主総会招集のご通知普通株式にかかる種類株主総会招集のご通知
■ 本年より、株主総会にご出席の株主さまへのおみやげは用意しておりませんので、あらかじめご了承くださいますようお願い申しあげます。
<定時株主総会>
報告事項 第1期(2015年4月1日から2016年3月31日まで)事業報告、連結計算書類、計算書類ならびに会計監査人および監査委員会の連結計算書類監査結果報告の件
決議事項
第1号議案 第三者割当による普通株式の発行の件
第2号議案 事業目的に係る定款一部変更の件
第3号議案 取締役選任の件
<普通株式にかかる種類株主総会>
決議事項 議案 第三者割当による普通株式の発行の件
オススメ書籍。
株式・種類株式<第2版> (商業登記全書)