登記実務で出会う先例、通達、質疑応答。カウンター相談とは何か…

登記に詳しい諸先輩方は「いやーいうてカウンター相談だからなぁ」とか「民事局長回答出てるよ」などと当たり前のように業務中に使う用語なわけですが…
個人的にわかっているようでわかっていないので、簡単に整理してみました。

まずは先例(通達・訓令・回答・依命通知)から

先例は、上級省庁(登記で言えば法務省)が下級省庁に発出した通達、訓令、回答、依命通知等の総称を指します。ひっくるめて、先例、ということですね。
では、次にそれぞれの中身を見てみましょう。

「通達」は、行政機関内部の上級機関が下級機関に対し、指揮監督関係に基づきその機関の所掌事務について示達することをいいます。登記でいえば、所管行政庁である法務省の所管部局である民事局の長がその解釈、運用等について発した命令、指針です。

「訓令」は、行政機関(上級官庁)が所管の別の行政機関(下級官庁)及び職員に対してその職務遂行・権限行使を指揮するために発する命令のことです。登記でいうと、法務大臣から法務局へ発せられる事務取扱に関する命令などがあります。

通達と訓令の境界線は結構あいまいです。また、登記実務は職務の性質上なのか、独立性が高い登記官の職務の性質上なのか、訓令はみかけない気がします。

次に、「回答」は、登記に関する法令の解釈について、各法務局長等の照会に応じたもので重要度によって法務省民事局長回答(重要)と法務省民事の課長による回答があります。局長回答と課長回答では重みが違うというわけです。

さらに「依命通知」は、行政官庁の命令に従って、その補助機関(登記で言えば民事局の課長さん)が発する通達のことをいいます。法令の改正の場合にその解釈運用について発出される法務省民事局長通達に合わせてその細部の取扱いを通知するもので法務省民事局課長から発せられます。

通達、回答、依命通知等の先例は、登記官を拘束し、実質的には法規と変わらない役目をしています。

次に「質疑応答」「カウンター相談」「登記簿」

「質疑応答」「カウンター相談」「登記簿」とは 登記研究(テイハン)という雑誌の各コーナーの名前です。
(コーナー名だったんかい…)と思いつつ、これらのコーナーの記事は民事局の方がおそらく関与されて作成されているので、登記実務に関しては、先例ほどとはいえないものの、一定の拘束力(とまではいかないかな?通用力というほうが適切かも)があるといえます。
もっとも、先例と比べると質疑応答等の拘束力は低いと言わざるを得ません。
法務局に対して先例を提示した場合と質疑応答を提示したときの反応はあきらかに異なります。

以下のまとめの図を掲載しておきますので、ご参照ください。

 

参考にさせていただいたブログの記事です。

登記ノート: 法と先例の関係

「先例と登記研究」:皆川編集長 Next-Stage/ウェブリブログ

とりあえずこの2冊は持っていても良いと思います。