平成27年の一般社団法人法の改正に伴って、外部理事・外部幹事とういう概念が廃止されました。
外部理事の責任に関する115条の定めは登記事項であるため、これについて変更の要否が問題となってきます。
改正前の定款規定例を日本公証人連合会の定款記載例から引用してみます。

(責任の一部免除又は限定)
第27条 当法人は、一般法人法第114条第 1 項の規定により、理事又は監事が任務を怠ったことによる損害賠償責任を、法令に規定する額を限度として、理事会の決議により、免除することができる。
2 当法人は、一般法人法第115条第1項の規定により、外部理事又は外部監事との間で、任務を怠ったことによる損害賠償責任の限定契約を締結することができる。ただし、その責任の限度額は、〇〇万円以上で当法人があらかじめ定めた額と法令で定める最低責任限度額とのいずれか高い額とする。

外部理事の概念自体は廃止されましたが、外部理事が負う責任については、改正後10年間は債権として残る可能性があるため、10年間は変更する必要がないということのようです。

それでは、変更するとしたらどうなるでしょうか。以下に改定例を挙げてみます。

(役員の責任軽減)
第27条 当法人は、一般社団・財団法人法第113条第1項の規定により、社員総会において総社員の半数以上が出席し、総社員の議決権の3分の2以上に当たる多数による決議に基づき、理事又は監事の同法第111条第1項の損害賠償責任について、賠償責任額から同法第113条第1項第2号所定の金額(以下、「最低責任限度額」という。)を控除した額を限度として免除することができる。
2 当法人は、一般社団・財団法人法第114条第1項の規定により、理事会の決議によって、理事又は監事の同法第111条第1項による損害賠償責任について、賠償責任額から最低責任限度額を控除した額を限度として免除することができる。
3 当法人は、一般社団・財団法人法第115条第1項の規定により、非業務執行理事等との間に、同法第111条第1項による損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく賠償責任の限度額は、最低責任限度額とする。

ただし、変更するとなると登記が必要になってきます。登録免許税3万円です。厳しいですねぇ。

一般社団法人・財団法人制度と登記の実務
吉岡 誠一 (著)

内閣府モデル定款準拠 定款の逐条解説 公益社団法人・一般社団法人編