2017/04/10
続きの記事を掲載しました。
種類株主総会の決議が必要となる場合のまとめ~その2

法定種類株主総会について、会322条1項のまとめ、というか記憶確認。

あらゆる株主総会決議について種類株主総会の決議が必要になるわけではないよ、ということです。
本店移転や目的変更の場合には法定種類株主総会の決議はいらないわけです。

葉玉先生のブログが出色の出来でございまして・・・コピペをフル活用して自分用に編集。

(1)~(3)が種類株主総会の決議が必要とされる場合です。ここまでわかりやすくまとめられるものなのか、立法担当者オソルベシ。

(1) 種類株式の保有や譲渡が制限されるような変更がされる場合(111条関係)

① 全部取得条項の付加する定款変更(111Ⅱ) ~ 特別決議(324条2項)
② 譲渡制限条項を付加する定款変更(111Ⅱ) ~ 特殊決議(324条3項)
(類似品)
・譲渡自由株式の株主に,合併、株式交換、株式移転の対価として譲渡制限株式等が交付される場合(783Ⅲ,804Ⅲ)~特殊決議
・ある種類の株主に,合併等の対価として持分等が交付される場合(783Ⅳ)~種類株主全員の同意
③ 取得条項を付加する定款変更(111Ⅰ) ~ 種類株主全員の同意(なお,これは種類株主総会の決議ではなく,全員から同意を取ればよい。)

※(1)について種類株主総会の決議を不要とすることはできません

 

(2) 譲渡制限株式を有する種類株主の持株比率が侵害される虞がある場合

譲渡制限株式を募集する場合の募集事項を決定(199Ⅳ)し,又は,募集事項の決定の取締役・取締役会への委任(204Ⅳ)するとき~特別決議
(類似品)
・譲渡制限株式の交付を目的とする新株予約権を募集事項の決定(238Ⅳ)・募集事項の決定の取締役・取締役会への委任(239Ⅳ)
・存続会社が吸収合併等の対価として譲渡制限株式を交付するとき(795Ⅳ)

※(2)について種類株主総会の決議を定款で不要とすることは可能です。ちなみに、199条の種類株主総会の定款決議が不要とする定款内容は「種類株式の内容」ではないため、322条に規定されている変更には該当しません。

 

(3)その他種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合(322条関係)

322条1項各号に掲げる行為(株式の種類の追加や内容変更,株式の併合等)をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき(322)~特別決議

(322条)

1、次の定款変更(会111条1項、2項に規程するものを除く)
① 株式の種類の追加(会108条)
② 株式の内容変更(会107条、108条)
③ 発行可能株式総数(会37条1項)または発行可能種類株式総数(会101条1項3号)
2、株式の併合(会180条)、株式の分割(会183条)
3、種類株主に対する株式無償割当(会185条)
4、株主に株式割当を受ける権利を与える株式の募集
5、株主の新株予約権割当を受ける権利を与える新株予約権の募集
6、種類株主に対する新株予約権の無償割当(会277条)
7、合併(会749条、753条)
8、吸収分割(会758条、759条)
9、吸収分割による他の会社が事業について有する権利義務の全部または一部の承継
10、新設分割(会763条)
11、株式交換(会768条、769条)
12、株式交換による他の会社の発行済株式全部の取得
13、株式移転(会773条)

※1①~③以外について種類株主総会の決議を定款で不要とすることは可能です

 

最強の参考リンク

http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50334340.html

必携書。手続き依頼があれば該当箇所を1から通読して確認です。
株式・種類株式<第2版> (商業登記全書)